2015年11月25日更新

【自称工作師がつくる「工作師リフィル(その1)」】

究極のボール、究極のインク、究極の軸を使って「究極のボールペン」を作ろうとしたら、まったく別のものができてしまったというお話。
まずは検討編。

自称工作師

文具工作部隊「SKIP」隊長、日本茶色普及協会理事長、茶色好き(通称:チャイラー)。
「ないものは自分で作る」「作り方は自分で考える」をモットーに、不定期で「工作会議」を開催しワークショップを行っています。

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はじめに

 

前回述べたとおり、私が愛用するボールペンは「究極のボール」を持つサラサクリップである。

サラサクリップ

 

サラサクリップを無加工で入れることができる「究極の軸」も手に入れた。

モンブラン18310

 

サラサクリップのボールの質には満足しているものの、茶色の色に不満を持っている。
黒に近い茶色だからである。
これに対し、万年筆インク「ペリカンブラウン」の発色、「究極の茶色」である。

ペリカンブラウン

 

今回は、究極のボール、究極のインク、究極の軸を使って「究極のボールペン」を作ってみる。

 

 


工作のポイント

 

サラサクリップに入っているインクを抜いて、「ペリカンブラウン」に入れ替える方針で検討に入る。

 

1)空リフィルの準備


 空リフィルを作るとき、リフィル内のインクの後ろにある透明な油がペン先に入ってしまうとそのリフィルは使えない。
 したがって、5mmほど残した状態で使用をやめる必要がある。

空リフィル

 

2)インクの入替手段

 私は万年筆のボトルインクが少なくなると、百均の注射器でインクを吸ってカートリッジに入れ替えている。
 今回のリフィルの入替にも注射器には代用できるため、これを用いる。

百均の注射器

 

3)インクの粘度

 サラサクリップにはジェルインクが入っているのだが、万年筆のインクとくらべると粘度が高い。
 粘度の低いものをリフィルに詰めると、インクが出すぎてしまう傾向がある。
 実証実験の結果、使っているボールペンの太さより一段階細いリフィルを使えばいいことがわかった。
 つまり、0.5mmを使いたいならば0.3~0.4mmを用い、0.7mmを使いたいならば0.5mmのリフィルを用いる。
 私は0.7mmを使っているのだが、太くなる分には気にならないため、そのまま0.7mmのリフィルを利用する。

 

4)インク追従体の代替手段

 ボールペンリフィルの後ろのほうに、透明な油のようなものが入っている。
 これを「インク追従体」と呼ぶ。

インク追従体

 

 インク追従体の役割は以下の3点である。
  ・リフィルの後ろからインクが飛び出さないようにすること
  ・インク内に気泡を入れないこと
  ・インクの揮発を防ぐこと

 リフィルの後ろをふさいでしまえば問題が解決しそうに見えるが、そうはいかない。
 ストローの片方をふさぐと反対側から水が出てこなくなるのと同様、リフィルの後ろをふさぐとインクが出てこなくなってしまう。
 また、ボールペンの使用に伴いインクが減り、リフィル内には空気が入ってくる。
 そうするとペン先を上にしたとき、ペン先のほうに気泡が入り込み、これまた筆記ができなくなってしまう。
 したがって、インクの減りに応じてインクを追従する「インク追従体」が必要なのだ。

 インク追従体は非常に粘度が高いため、注射器で吸い出して再利用することができない。
 また、単独で入手することが難しい。
 「インク追従体」を代替する手段が必要である。

 

 


インク追従体探索の旅

 

工作のポイントで述べたインク追従体の代替手段、この課題をクリアするため私は3ヶ月の時間を費やす。
工作とは試行錯誤の連続であるが、この過程こそが工作の醍醐味といっても過言ではない。
「どうやって作るかを考えているとき」が、実はいちばん楽しいのである。

インク追従体を代替する要件は、以下のとおりである。
 ・油であること(水性インクと完全に分離する必要があるため)
 ・インクよりも比重が高いこと(ペン先を上にしても油が浮き上がらないようにするため)
 ・高い粘度を持っていること(インクがこぼれないようフタの役割が必要なため)

水より高比重で高粘度の油、実は私の身近にあった。
「カスターオイル(ひまし油ともいう)」植物の種子を圧搾してできる油である。

カスターオイル

 

もともと工業用潤滑油として利用されており、粘度が高く温度変化にも変質しないという特性を持っている。
この油は一般に入手できるオイルの中では最大の粘度である。(蜂蜜みたいな感じ)
値段も安く、60mlでわずか300円程度である。
なぜこの油が私の身近にあったかという説明はめんどくさいので省略するが、とにかくこれを使ってみた。

。。。がしかし、これでも粘度がたりず、後ろに振るとインクがこぼれてしまうのだ。

この後私はさまざまなものを試してみるが、うまくいかない。
「シリコングリス」
「発泡スチロールの粒」
「トイレの臭い消しのゼリー状の玉」
。。。うーん。数えきれない。

ホームセンターでの追従体探しが難航していた折、別用で薬局に立ち寄ったときに見つけた。
シェービングジェルである。

シェービングジェル

 

使ってみるとイイ感じ!
リフィルに注入して使ってみたのだが日々ジェル層がうすくなり、一週間もするとついにはジェルが消えてしまう。

なぜだろう。
アルコールなら蒸発するのだが、シェービングジェルの主成分はアルコールではない。
なのになぜかインク+追従体の量が変わらずに、ジェルだけが消えてしまうのである。。

調べてみたところシェービングジェルは「水溶性」なのだ。
つまりインクと同化してしまうため、インク+追従体の量が変わらずにジェルが消えてしまうのであった。
「また追従体探しの旅に出るか。。」と思った矢先。。。

 

ひらめいた!

「カスターオイルとシェービングジェルの2層化」である。
つまり高粘度高比重のカスターオイルでインクに対し「第一のフタ」をし、ゼリー状のシェービングジェルで「第二のフタ」をするのだ。

設計図

 

早速工作して、2週間書きまくった。
ジェルは蒸発せずにインクはこぼれない。

 

 

「インク追従体」は単数形だが、私の解決手段は複数の物体を使う。
したがって、私はこの方式を「インク追従隊」と名付けることにする。
(つづく)

【自称工作師がつくる「工作師リフィル(その2)」】

( ̄▽ ̄)T

 

 

 

 

<免責事項>
ボールペン改造、もしマネするひとがいるならばトラブルが起きても当方では責任を負えません。
自己責任で行ってください。

 

 

 

 

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