2015年11月26日更新

【自称工作師がつくる「工作師リフィル(その2)」】

究極のボール、究極のインク、究極の軸を使って「究極のボールペン」を作ろうとしたら、まったく別のものができてしまったというお話。
完結編。

自称工作師

文具工作部隊「SKIP」隊長、日本茶色普及協会理事長、茶色好き(通称:チャイラー)。
「ないものは自分で作る」「作り方は自分で考える」をモットーに、不定期で「工作会議」を開催しワークショップを行っています。

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はじめに

 

前回からの続きです。
先に(その1)を読むことをオススメします。

自称工作師がつくる「工作師リフィル(その1)」

 

 


今回必要な材料

 

1)サラサクリップの空リフィル
 インク層を5mmほど残した状態のものを準備する。

空リフィル

 

2)お気に入りの軸
 今回はモンブラン№18310を使う。

モンブラン№18310

 

3)お気に入りの万年筆インク
 今回はペリカンブラウンを使う。

ペリカンブラウン

 

4)カスターオイル
 生活の木で入手したものを使う。

カスターオイル

 

5)シェービングジェル
 なんでもいいのだが、今回は「GATSBYシェービングジェル(COOL-TYPE)」を使う。

シェービングジェル

 

 

 

 

今回必要な道具

 

1)ペンチ

 リフィルの分解に使う。

 

2)ティッシュペーパー

 リフィルからインクを抜くのに使う。

 

3)紙

 リフィルからインクを抜くときと、ためし書きに使う。

 

4)綿棒

 リフィルの洗浄に使う。
 5~6本必要。

綿棒

 

5)食器用洗剤

 リフィルの洗浄に使う。
 何でもよい。

 

6)注射器

 リフィルに入れ替えるために使う。
 百均の化粧品コーナーで売っている。
 「インク用」「カスターオイル用」「シェービングジェル用」の3本が必要。

注射器

 

 

 

 

今回必要な設備

 

1)洗面所

 インクと追従体を抜いたリフィルの洗浄に使う。

 

 


作り方

 

1)筒とペン先の分離

 筒とペン先を分離する。
 多少力が必要なので、ペンチで引き抜く。
 勢いよく引き抜くとインクが飛び散るので注意すること。
 ティッシュを敷いて作業を行うとよい。

リフィル分解

 

2)筒の洗浄

 筒に残ったインクと追従体を、綿棒を使ってかき出す。
 綿棒を複数本、直列で入れるとよい。
 そして食器用洗剤で洗ってきれいにすすぎ、綿棒でふいて乾燥させる。

筒の洗浄

 

3)ペン先のインク除去

 ペン先に残ったインクを除去する。
 ティッシュで「こより」を作って、ねじりながらペン先に入れ、回しながらふき取る。

こより

 

 ペン先のインクが除去できるまで繰返し行う。

ペン先の洗浄

ペン先の洗浄

 

 その後、一旦筒に戻して紙に書いてインクを完全に除去する。

インクの完全除去

 

 完全にインクを除去できないと、後から入れる万年筆インクに色が混じるので、この工程は丁寧に行うこと。

インクの除去

 

4)ペン先へのインク注入

 注射器を使ってペン先にインクを注入する。
 気泡が入ることを避けねばならぬため、注射器を出来るだけ奥まで差込み、注射器を引き出しながらゆっくりインクを注入する。
 表面張力が有効になるまでたっぷりと注入すること。

ペン先へのインク注入

 

5)ペン先と筒の再結合

 分離したペン先と筒を元に戻して、リフィルの形にする。
 ペン先は表面張力でインクを保持している不安定な状態なので、あわてずゆっくりと。

再結合

 

6)筒へのインク注入

 ボトルから注射器でインクを吸い込み、ゆっくりと筒にインクを入れる。
 インクはリフィルの半分くらいまで入れる。
 このとき絶対に気泡を入れてはならない。
 直径1mm程度の気泡でもペン先に空気の層ができると書けなくなることがあるからである。
 万一気泡を入れてしまったら、気泡を注射器で吸い込むこと。
 筒の内側に付着したインクは綿棒でふき取ると仕上がりの完成度が上がり、「職人の仕事」となる。

インク注入

 

7)カスターオイルの注入

 ボトルから注射器でオイルを吸い込み、ゆっくりと筒にインクを入れる。
 カスターオイルは10mmくらい入れる。
 ここでも絶対に気泡を入れてはならない。

カスターオイルの注入

 

8)シェービングジェルの注入

 チューブから注射器でジェルを吸い込み、ゆっくりと筒にインクを入れる。
 シェービングジェルは20mmくらい入れる。
 ここでも気泡を入れてはいけない。
 カスターオイルの層を通じて、インクのエリアに気泡が届いてしまうことがあるためである。
 とにかくコツは「気泡を入れないこと」である。

シェービングジェルの注入

 

9)組み立て

 リフィルを軸に入れて組み立てる。

リフィルの組み立て

 

完成。

完成

 

 

 

使ってみる

 

紙に「の」の字や文字を書いて、インクの出方をチェックする。
ジェル層のジェル量が、インクの出を左右しているようなので、インクの出が悪いなと思ったらジェルの量を注射器で減らす。
逆にインクの出がよすぎる場合は、ジェルの量を注射器で増やす。

インク調整

 

紙に書いてみる。

ためしがき

 

ん?

「究極のボールペン」を作るつもりだったのだが、「ボールペンでも万年筆でもない新たな筆記具」ができてしまう。

ボールで書いている感覚はあるのだが出てくるインクは万年筆なので、インクの濃淡が文字に表れる。
インクの出が良いぶん筆圧を必要としないため、今までにない筆記感が味わえる。
ボールペン、万年筆、それぞれを好んで使う人がいる以上、私が作ったペンの使い勝手も最終的には「好み」なのかもしれない。
しかし、私にとってこのペンは「究極の筆記具」となる。

実際に書いてみなければ、この感覚を正確にはお伝えできないのが残念である。

とにかくさあ。。。
このペンの筆記感を味わってみてほしいんだな。
スゴイから!

 

 

 

まとめ

 

わたしレシピ。

わたしレシピ

 

このリフィル、工作師が作ったので「工作師リフィル」と名づけることにする。

このペンを開発したのは、今から3年前の2012年である。
この間、入れ替えた回数は100回以上、使ったリフィルも20本を超える。
リフィルの後ろからインクが飛び出す事故が数回あったが、概ね「使えるペン」である。

 

。。。
このペン、道具さえそろえれば、ランニングコストが非常に安くなる。
2015年4月の工作会議で、サラサクリップとお気に入りの万年筆インクを使って、工作師リフィルを作るワークショップを開催した。
道具をそろえることがハードルになるため、要望があればワークショップを再度開きたい。

 

。。。
ボールペンのリフィルに違ったインクを入れるような「基礎技術」を確立すると、その応用範囲が広がる。
この技術を使って作ったペンは、また別途紹介する。

 

★重要★

夜中に自室に引きこもり注射器を使った工作をしていると、家族に見つかったときに確実に泣かれます。
ここで必要なのは、常日頃から培うべき「信頼関係」です。
( ̄▽ ̄)T

 

 

 

 

<免責事項>
ボールペン改造、もしマネするひとがいるならばトラブルが起きても当方では責任を負えません。
自己責任で行ってください。

 

 

 

 

 

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