2016年1月31日更新

【自称工作師がつくる「アイドロッパー式万年筆」】

岡山県のK路さんに教わった、シリコングリスを使ったアイドロッパー万年筆。スケルトン万年筆で作ってみたら簡単にできちゃった、というお話。

自称工作師

文具工作部隊「SKIP」隊長、日本茶色普及協会理事長、茶色好き(通称:チャイラー)。
「ないものは自分で作る」「作り方は自分で考える」をモットーに、不定期で「工作会議」を開催しワークショップを行っています。

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はじめに

 

アイドロッパー式とは、軸に直接インクを注入する方式である。
万年筆の初期の方式で、現在主流ではない。

昨年末お会いした岡山県のK路さんから、アイドロッパー万年筆の作り方を教わる。
首軸と尻軸の接合部にシリコングリスを塗るだけで作ることができるという。

早速作ってみることにする。

 


工作のポイント

 

1)使える万年筆の要件

この方式に改造するために使える万年筆の方式は、「カートリッジ式」である。
カートリッジ式の万年筆の多くはコンバーターも使えるが、アイドロッパー方式は潔くどちらも使わない。

また、軸に直接入れたインクが漏れてしまうため、尻軸の先端に穴があいているタイプ(ラミーの一部モデル)の万年筆は使えない。

さらにインクの残量を確認するために、スケルトンの万年筆である必要がある。

したがって使える万年筆の要件は、以下のとおりである。

「カートリッジ式であること」
「尻軸に穴があいておらずインクを密封できること」
「スケルトン(透明)軸であること」

 

2)棚吊り予防

棚吊りとは、インクタンク内で表面張力によりインクが上の方にとどまる現象のことである。
棚吊りがおきると、インクは十分あるのに万年筆が書けなくなる。
今回は首軸に金属でできたものを入れ、棚吊りを防止する。

軸内をキズつけないようにするためカドがない金属球が望ましいのだが、代替で道具箱に入っていた外形5mmのナットを利用する。

 

 

今回使った材料

 

1)万年筆


 工作のポイントであげた要件を満たす万年筆。
 今回はパイロットのプレラを利用。

プレラ

 

2)ボトルインク


 何でもいいのだが、私は日本茶色普及協会公認の「ペリカンブラウン」を利用。

インク

 

3)シリコングリス


 精密機械用が良いとされているが、道具箱にあったものを利用。

シリコングリス

シリコングリス

 

4)小口径のナット


 棚吊り防止用に尻軸に入れるために必要。

ナット

 

 

 

今回使った道具

 

1)綿棒


 シリコングリスをぬるとき、手を汚さないために使う。

綿棒

 

2)注射器


 百均で購入したもの。
 インクを入れ替えるのに使う。

注射器

 

 

 

作り方

 

1)万年筆の分解


 キャップ、首軸、尻軸、コンバーターに分解する。
 今回はコンバーター(またはカートリッジ)は使わない。

万年筆の分解

 

2)尻軸にナットを格納


 尻軸にナットを格納する。
 一度首軸を接合してナットが引っかからないか確認する。

尻軸にナットを格納

 

3)シリコングリスをぬる


 首軸接合部のネジ山にシリコングリスをぬる。
 薄く均等にぬる。

シリコングリスを塗る

シリコングリスを塗る

 

4)インク注入


 注射器を使って、インクボトルから尻軸にインクを注入する。
 インクが熱膨張して体積がかわることを考慮して、入れるインク量は尻軸の半分強にとどめる。

インク注入

インク注入

 

5)組み立て


 首軸と尻軸を接合し、キャップを閉じて組み立てる。

組み立て

組み立て

 

完成。

 


使ってみる

 

このプレラのニブは、カリグラフィー用のCMニブ。
いいカンジで漢字が書ける。

漢字を書く

 

カリグラフィーペンで漢字を書くのは、実はあまり得意ではない。
得意のイタリア語(ヘボン式)で書いてみる。

ヘボン式

 

軸が透明だから、インク色が軸色になる上、インク残量もひと目でわかる。

インク残量

 


まとめ

 

わたしレシピ。

わたしレシピ

 

しばらく使ってみたが、接合部からのインク漏れはない。
実際にやるときは、シリコングリスの塗り方のムラなどによりインクが漏れることも考えられるので、インクの漏れがないことを確認できるまでは、汚してもいいものに包んで持ち運んだほうがよい。

 

棚吊り防止のナット。
一度、ナットを入れずにやってみたのだが、棚吊りが発生した。
ナットを入れると棚吊りは発生しない。
効果はあるようだ。

 

パイロットのプレラ(色逢い)は、キャップ部分が白い。
いつかキャップもスケルトンになっている万年筆に茶色のインクを入れ、全体を茶色にしてみたい。

 

。。。
注意事項がひとつある。

インクが入っているときは、絶対に万年筆を分解してはならない。
なぜなら、インクまみれになるからである。
賢明な皆さまなら絶対にやらないことだと思うのだが、賢明でない工作師はつい分解してインクまみれになってしまった。

念のため、お伝えしておく。
( ̄▽ ̄)T

 

 

 

 




<免責事項>
工作で事故が起きても、当方では責任を負えません。
あくまで自己責任で行ってください。

 

 

 

 

 

 

コメント

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おっしゃる通りです。
ベアリング球のほうが角がないので軸内部を傷つけないと思います。
ただこれくらいの軸の太さがあれば、棚吊り防止の玉は不要ですね。
(^◇^)
自称工作師 | 2017/01/29
ヘリコからアイドロッパー式万年筆が発売されると聞き、アイドロッパー式万年筆を検索したら、ここにたどり着きました。
1つご意見を。
ナットを入れる代わりに、プラチナ万年筆のカートリッジにあるベアリング球では?良いと思うんですがね。
京極 秋彦 | 2017/01/26

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