2015年8月4日更新

【自称工作師が食らう「まがいモン」】

私はかつて、ヤフオクで高級ペンを転売して荒稼ぎしていた。
ある日、百戦錬磨(だと思っていた)私の自信が打ち砕かれる出来事が。
その巧妙(?)な手口とは。。。

自称工作師

文具工作部隊「SKIP」隊長、日本茶色普及協会理事長、茶色好き(通称:チャイラー)。
「ないものは自分で作る」「作り方は自分で考える」をモットーに、不定期で「工作会議」を開催しワークショップを行っています。

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確率変動

 

私はかつて、ヤフオクで高級ペンを転売して荒稼ぎしていた。
一般的な市場と同様、ヤフオクにおいても「需給のバランス」が崩れると取引価格が上下する。
つまり需要が供給を上回ると取引価格が上昇し、需要が供給を下回ると取引価格が下落するのだ。

ヤフオクをウォッチしていると、なぜか突然「需給のバランス」が崩れることがある。
旧家の整理、倒産企業の資産売却などの理由により、商品知識のない同一出品者から良品が大量出品されるのだ。
当然ながら取引価格が下落するため、自称相場師の私は「買い」を判断する。
良品が安く仕入れられるため、私はこの現象を「確率変動(確変)」と呼んでいる。


本物

 


落札

 

4年ほどまえのある晩、ヤフオクで高級ペンをウォッチしていると、確率変動が起きている。
俄然、検索に力が入る。

モンブランローラーボール(ゴールド)、1000円、ポチッ。
モンブランローラーボール(プラチナ)、1000円、ポチッ。
モンブランローラーボール(ボルドー)、1000円、ポチッ。

ライバルはおらず、3点とも1000円で落札する。

「今回の確変はラッキーだったなぁ」
「定価だったら3本合わせて100000円超えるよなぁ」
「モノの価値を知らない出品者って、カモだよなぁ」

送料を確認してみる。
なになに?

『香港からの国際郵便代金2800円と、落札金額をお振込ください』
送料、高すぎ!

(@1000円×3本)+送料2800円=総額5800円

つづけて読んでみる。
なになに?

『同梱には応じられません。個別に送料をお振込ください』

「マジでか!」
「同梱で送れないモノではないだろ!」
「箱に入っているのかな?箱いらないから、同梱で送ってくれよ~」

(@1000円+送料2800円)×3本=総額11400円
総額の計算式が、頭の中で目まぐるしく変化する。

「ま、高いけど定価に比べたらまだまだ安いよな」

代金を振り込んだあと、商品説明を読んでみる。
なになに?

『海外からの発送なので、到着までに2週間程度の期間を要します』

ほほう。

『新品ですがアウトレット品なので、完全な商品をお探しの方の入札はご遠慮ください』

ん?
海外から発送。
国際郵便。
2週間程度の期間。
アウトレット品。

。。。やられた?

気を取り直して、出品者の評価を見てみよう。

『非常に良い・良い、2』
『非常に悪い・悪い、5』

うーん。評価が悪い。

2勝5敗、まるで阪神の投手陣のような評価だな。
(※注:自称工作師は「アンチ阪神ファン」)

まてまて、次に落札者の評価コメントを見てみよう。

『2週間たっても商品が届きません!』
『正規品とは明らかに異なります!』

。。。
不幸中の最悪。(T_T)

そもそも届くのだろうか?
到着までの2週間の間にYahooのIDごと削除して、ドロン(死語)するつもりじゃなかろうか?
振り込んだ後なので、まさに「後の祭り」である。

 

 

商品到着

 

ところが予想に反して、10日後に国際郵便が届く。

荷物はひとつ、ボールペンは3本。。。「同梱」である。

「おい!『同梱には応じません』じゃなかったのか!」
「客から3商品分の送料取って、自分は同梱で送料1商品分じゃねーか!」
「2商品の送料、5600円返せよ!」

取引連絡で送料返却を依頼しようと、ヤフオクの商品ページへ。

。。。
『該当のYahoo!JAPANIDは削除されています』

ドロン(死語)。。。orz

海外から発送する意味は、ドロンするための時間稼ぎのためなのだ。
世知辛い世の中、ダマされるほうが悪い。

 


商品の観察

 

気を取り直して、届いた商品を観察してみる。

まずゴールドとプラチナ。
若干細部の作りが粗雑だが、注意深く見なければ粗雑な部分はわからない。
遠くから見たら、どっちが本物か判別不能。

(写真:わかりにくいが上がニセゴールド、下が本物ゴールド)
ゴールド

 

(写真:上がニセプラチナ、下が本物プラチナ)

プラチナ

 

そしてボルドー。
ボルドーとは赤ワインで有名なフランスの地名、茶色かかった深く上品な赤のことである。

(写真:上がニセボルドー、下が本物ボルドー)
ボルドー

 

。。。
「おい!何だこれ!」
「出品写真と全然違うじゃん!」
「ボルドーじゃねーよ!赤だよ!赤!」

それにしても下品な赤である。
まさに粗悪品。
このボルドーは、恥ずかしくて使えない。

 

次に、矢印をみてほしい。
光のあたりかたが、ゆがんでいる。
ゆがんでいるということは。。。
表面に凹凸があり、粗雑な作りであるといえる。

(写真:上がニセ、下が本物)
ニセモノたち

本物たち

 

。。。
そして、決定的なニセモノの証拠が見つかる。
シリアルナンバーが3本とも同じであること。。。
モンブランのマイスターシュテュックというペンは、キャップの固定リング部にシリアルナンバーが刻印してある。
同じシリアルナンバーのペンが、複数存在することはありえない。

今回の3本のシリアルナンバー、すべて「TW1666898」であった。(笑)

あきらかなクロ。
まがいもののモンブラン、つまり「まがいモン」である。

 


使ってみる

 

私はリフィルを自作のものに入れ替えて使うため、書き味に対する影響はない。
とりあえず、1週間使ってみる。

「まがいモンだ!」という周囲からの声もなく、自身もまがいモンであることを意識することはない。

さらに1週間。。。

ふとペンに目をやると。
ん?
ゴールドのメッキがはがれて、クリップが「鉄色」になっている。
プラチナも同様。

さらに使うとメッキのはがれが進み、ゴールドとプラチナの判別ができなくなる。
両方とも鉄色「アイアン」だ!
アイアン

 

あげくの果てに、軸にヒビが。。。
ひび

 

やっぱり、まがいモンは使えない。
いや、使ってはならないし、買ってはいけない。

「モノの価値を知らない出品者って、カモだよなぁ。」
と、先ほどつぶやいた。
「まがいモンに気づかない落札者って、カモだよなぁ。」
と、相手は思っていることだろう。

 

 

教訓

 

勉強代11400円を払って得た、今回の教訓である。

まず、商品説明をよく読むこと。
これは鉄則である。

以下、高級ペンの取引で注意すべきことである。
条件に合致する商品全てが「まがいモン」であるとはいえないが、可能性があるので注意してほしい。

・モンブランのペンであること(なぜか、圧倒的に多い)
・ストアじゃないのに大量出品している出品者であること
・高価な限定品の品揃えが豊富な出品者であること
・出品者の評価が少ない、そして悪いこと
・キーワード「海外から発送」「発送から数週間」「アウトレット品」「国際郵便」
・発送元が日本ではない東アジア圏であること
・相場より安いのに、ライバルがいない商品であること

。。。
モノに罪はない。
だが、今回入手した3本の「まがいモン」の処置に困る。
まがいモンには、まがいモンなりの責務を全うしてもらわねばならない。

工作の人体実験。
つまりボールペンの改造時、実際の材料で工作する前の「実験台」という過酷な労働を強いることにする。

頼むぜ、まがいモン!
まがいモン

 

さあ皆さまも、楽しいヤフオクライフを!
( ̄▽ ̄)T

 

 

 

 

 


<免責事項>
ニセモノ商品の売買を通じてトラブルが起きても、当方では責任を負えません。
自己責任で行ってください。

 

 

 

 

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