2015年8月7日更新

【自称工作師がなおす「亡き母の形見」】

亡き母から譲り受けた、50年前のモンブラン。
古い万年筆なので樹脂にヒビ割れが。。。
今回はアレを使って修理する。

自称工作師

文具工作部隊「SKIP」隊長、日本茶色普及協会理事長、茶色好き(通称:チャイラー)。
「ないものは自分で作る」「作り方は自分で考える」をモットーに、不定期で「工作会議」を開催しワークショップを行っています。

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はじめに

 

亡き母から譲りうけた、古い万年筆。
両親が結婚する前に母が使っていたので、何と50年近く前のものである。


モンブランNo.32、緑軸の吸入式。


モンブラン№32

 

茶色好きのチャイラーである私、「緑軸」がイヤだったが、形見なので仕方がない。

私の手元にやって来たときは、古いインクが中で凝固していた。
どうにも使えぬペンであったため、自力で分解洗浄し約3カ月かけてリペアした。
リペア後しばらく使っていたのだが、樹脂でできたペンのキャップにヒビ割れがあり、キャップを閉じてもペン先が乾いてしまう。
今回はアレを使って、樹脂のヒビ割れを修理する。

 


工作のポイント

 

樹脂の修理には、ネイル用の「トップコート」が有効であることを、私は知っていた。
しかし、43歳工作男子がトップコートを入手することは容易ではない。

「トップコートの入手」
これが今回の工作のポイントである。

ネイル女子が愛用する「トップコート」。
43歳工作男子が、化粧品売場を徘徊するのはハズかしい。
うーん、どうしたものか。

ダメもとで、後輩のネイル女子に頼んでみる。
「ネイルで使う『トップコート』、余ってたら分けてくれないかな」
「家に余っているのがあるから、今度持ってきま~す」
と、あっけなく入手。
何に使うかを執拗に聞かれたが、適当に受け流す。
トップコートの入手に成功した私、化粧品売場を徘徊せずに済む。

 


今回必要な材料

 

1)ネイル用「トップコート」
 後輩のネイル女子より入手。
 43歳工作男子には、詳細なことはわからない。


トップコート

 


今回必要な道具

1)プラスチックみがきクロス
 東急ハンズで購入。(後ろに見えるヤツ)


プラスチックみがきクロス

 

2)佐々木商店のつやふきん
 こないだ紹介したヤツ。


つやふきん

 


直し方

 

1)万年筆のインクをぬく
 万年筆のインクが入っているならば、念のためインクを抜く。
 インクを抜いたら乾燥させる。

 

2)万年筆をキレイに磨く
 つやふきんで乾拭きし、手垢などの汚れを落とす。

 

3)トップコートを塗る
 キャップにできたヒビに沿って、トップコートを「はけ」で塗る。
 ヒビに浸透したのを目視で確認し、乾燥させる。

 

4)キャップを研磨する
 トップコートを縫った部分が盛り上がるので、「プラスチックみがきクロス」を使って、盛り上がりを研磨する。
 触ったカンジが平らになるまで、やさしく磨く。


みがく

 

5)研磨剤の粉を落とす
 プラスチックみがきクロスから出た研磨剤の粉を、ティッシュなどで払って落とす。

 

6)つやふきんで磨く
 仕上げに「つやふきん」で磨く。
 磨くという行為は「己の心を磨く」こと。
 自分の心の輝きを取り戻すように心を込めてペンを磨けば、おのずとペンは輝いてくる。(再)

 

完成。

 


使ってみる

 

修理したところを観察する。
よく見ると修理の痕跡があるのだが、実用上は問題がない。


修理痕

 

モンブラン№32は吸入式であるため、ペンに直接インクを吸わせる。
インクはもちろん、愛用の「ペリカンブラウン」。
今回はペン先の修理ではないので、書き味は変わらない。

 

インクを入れた万年筆のキャップをしめて、放置する。
一週間後、キャップをはずして書いてみる。
乾燥していないうえ、書いたカンジも変わらない。


書いてみる

 

樹脂のヒビ割れの修理は成功した。
うほほ。

 


ペン先の調整

 

普段お世話になっているペンドクターS倉先生。
都内でペンクリニックが行われることを知ったので、早起きして足を運ぶ。
このペンの本来の性能を引き出せているのか不安だったので、先生にみてもらうことにする。

ニブは、おそらくEF(極細)相当、国産のF(細字)と同じくらいである。
インクフローが若干渋い気がするが、凝固していたインクが取りきれていないためだと推測する。
書き味にはそんなに影響がないので、ペン先の問題ではないと判断していた。

S倉先生にお渡しして、わずか2秒。
「ペン先がズレてますね。インクの出も悪いです」
いつもより時間をかけて調整してもうと、先生が「満面の笑み」でペンを返してくれる。
書いてみて、先生の「満面の笑み」の理由がわかる。

フワッとして書きやすい!
こんなにいいペンだったんだ。。。

「筆記革命」がおきる。

先生にみてもらって、ホントによかった。
やっぱりペン本来の性能を、引き出せていなかったんだ。

S倉先生、ありがとうございました。


ペンドクター

 


まとめ

 

恒例のわたしレシピ。
わたしレシピ

 

私は工作師であるが、万年筆のペン先分解とペン先調整には絶対に手を染めない。
なぜなら、ペンドクターのS倉先生に持っていくのが一番であることを知っているからである。

 

母から譲り受けた50年前の万年筆。
軸のヒビ割れ修理とS倉先生によるペン先調整により、またよみがえる。
長く使ってきたものだから、これからも大事にしていこうと思う。

 

。。。

ところで。
この万年筆、「亡き母の形見」のペンである。
もう少し正確に言うと、「亡き母の形見になる予定のペン」である。

 

なぜなら、母はまだ健在、むしろピンピンしているからである。
( ̄▽ ̄)T

 

 

 

 

 

 

 

 


<免責事項>
工作で事故が起きても、当方では責任を負えません。
あくまで自己責任で行ってください。

 

 

 

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